神は沈黙せず

概ねサーラの人と認識していた(というか、私の中で山本弘と言えばサーラだった)のですが、まあト学会関係の仕事もぼちぼち読んでました。なので、これを書けるのは山本弘しか居ねェ──! というのがよく分かる(と思う)。単に神は居るのか/居ないのか、という点を押していくのではなく、付随する事象全部をひっくるめて昇華させていく手並みが見事。文庫二冊ってことで、厚みに圧倒されて、買うのを躊躇って、それでも物語が気になるから、思わず下巻最後のページを捲ってしまう人も居るかもしれない。この作品においては、それを許そうじゃないか。だって、あのラストに込められたメッセージは、ちゃんと読まなければ分からないから。平坦な言葉でありながら、とても思いのこもった言葉でした。

神は沈黙せず(上) (角川文庫)

神は沈黙せず(上) (角川文庫)